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華のある生活

知っておきたい花言葉

たとえそれが愛する相手でなくとも、花の贈りものはうれしいものです。愛情表現として贈るのはもちろんのこと、喜び、感謝、いたわりなどの気持ちを表すときにも人は花を贈ります。それは私たちの気持ちを表現する手段として、すっかり定着しています。今回は、プレゼントとして用いられる四季の代表的な花をご紹介しながら、その花言葉や意味をご紹介したいと思います。

春の花の贈りものチューリップ

いろいろな場面で花を贈る機会が増えるのは何と言っても春ですね。卒業や入学、就職といった人生の節目となる季節なので、普段、めったに花屋に足を運ばないような人も、花を贈る機会が増えるのではないでしょうか。現代では温室栽培や海外輸入が普及しているため、季節を問わずさまざまな花が店頭にならんでいますが、春ならではの花として真っ先に思い浮かべるのはやはりチューリップではないでしょうか?

チューリップは地中海沿岸のトルコが起源とされています。6世紀頃にチューリップを品種改良して初めに楽しんだのは貴族や武人などの高貴な人々でした。のちにヨーロッパへ持ち込まれ、現在では、オランダで品種改良されたものが一般的なチューリップとして世界中で流通しています。

チューリップが日本に初めてやってきたのは、19世紀の半ば。当時は薬草の鬱金の仲間と勘違いされ、「鬱金香」と名付けられました。その後、大正時代になって本格的な栽培が始まり、現在では様々な色と形のチューリップが、700種以上も栽培されています。

チューリップの花言葉は「博愛」。博愛は、個人的に捧げられる愛ではなく、万人、万物への愛です。この花言葉は、チューリップの国、オランダに伝わる小さな伝説に由来しています。

昔、とても美しい少女がおり、その少女は3人の騎士からプロポーズを受けました。騎士たちはそれぞれ自分の家に伝わる家宝を、少女にプレゼントしました。彼らの気持ちを思って1人に決めることができなくなった少女は、花の女神フローラに頼み、自らをチューリップに変えてもらいました。この3人の騎士を思う少女の気持ちから「博愛」という花言葉が生まれました。

花言葉の由来を考えると、恋人に贈る花束としてはあまりふさわしくなさそうですね。広い意味であなたを愛しています、と伝えたい時に贈ってみてはいかがでしょうか。

夏の花の贈りものカーネーション

日本の夏はとても蒸し暑く、式服や礼服を纏わなくてはならないセレモニーが一番減る季節と言われています。しかし、そんな梅雨や盛夏が訪れる前の木々の緑が目にまぶしい初夏のころは、初秋と並んで過ごしやすくさわやかな季節です。そんな5月の第二日曜日、「母の日」に贈られる花といえば、もちろんカーネーションです。カーネーションはナデシコ科の多年草。地中海沿岸から西アジアが原産です。イスラム社会では、古くからカーネーションのモチーフがモスクの装飾に用いられていました。

カーネーションが世界的に普及したのは、1914年にアメリカで「母の日」が制定されて以来です。またその花言葉は意外にも「熱愛」。これはイタリアの貴族であるロンセッコ家の娘マルガリータの悲しい結婚に由来しています。

マルガリータは戦争のために、結婚したばかりの夫と別れなければならなくなりました。夫は、マルガリータが胸に付けていた白いカーネーションをとり、自分の胸に付けて出陣していきました。しかし夫は戦死。その胸には血で染まって真赤になった花びらがあったそうです。この血染めのカーネーションが妻への強い愛情をあらわす象徴として広まり、「熱愛」という花言葉が生まれました。また一説には、赤いカーネーションは十字架に架けられたキリストの赤い血をあらわしているとも言われています。

血で染まった赤いカーネーションのイメージは、母の日に贈る優しげな花とは少し結びつきにくいですね。

秋の花の贈りものコスモス

暑い夏が去り、秋風が立ちはじめるころ、あちこちで目に付く花といえばコスモスではないでしょうか。花屋の店先で見かけるのはもちろんですが、街中の空き地などでも自生していることがあります。

本来「コスモス」という呼び名は、キク科コスモス属の植物全体を指す総称なのですが、一般的にコスモスといえば、大春車菊を指します。秋に清楚な桃色の花を咲かせるので、秋桜とも呼ばれています。最近は、品種改良で、白、赤、黄色、オレンジなどの色も作り出されており、コスモスだけで作った色とりどりの花束も人気を集めています。

コスモスの花言葉には、「調和」、「秩序」、「乙女の純真」などがあります。もともと、コスモスという名称の語源は、ギリシャ語の「調和」、「秩序」、「美」などを意味する言葉です(ここから派生したのが、英語のコスモス=宇宙)。花びらが整然と並ぶ様子からこの名がついたといわれています。名前の意味そのものが花言葉になっているわけです。

また、「乙女の純真」というもうひとつの花言葉はその清楚な花姿そのものに由来しています。秋風に揺れるコスモスの佇まいは、まさに純真な乙女たちが静かに空を見上げているかのようですね。日本人は、コスモス=秋桜ということもあり、どうしてもその清楚さや無垢なイメージでコスモスを捉えがちですが、たまには視点を変え、宇宙の調和を表す神秘の花として見直してみるのもおもしろいのではないでしょうか。

冬の花の贈りものポインセチア

冬は、木々の葉も落ち、さびしげなイメージに沈み込みがちです。しかしそのいっぽうで、クリスマスや正月といった行事が楽しみな季節でもあります。何となく気忙しくて心浮き立つ年末の頃、街中で見かけるようになるのが、目にも鮮やかな赤色の葉を広げるポインセチアです。トウダイグサ科ユーホルビア属に属するこの植物はメキシコが原産です。ポインセチアという名前は、これをアメリカに初めて持ち帰った初代メキシコ公使、J・R・ポインセットに由来しています。日本には明治の初めに渡り、「猩々木」(しょうじょうぼく)の和名が付けられました。猩々というのは、中国の伝説に現れる顔の真っ赤な妖怪のことです。なんだかクリスマスのイメージからは遠い名前ですね。

その真紅の葉色が表す通り、ポインセチアの花言葉は「私の心は燃えている」。また、大きく開いた赤い葉の部分が、両手を広げて相手を祝福して見えるところから、「幸福」という花言葉も付けられています。結婚などのお祝いにもふさわしい花言葉ですが、くれぐれも「私の心は燃えている」の方の意味にとられないよう、贈る相手を選んでくださいね。


「花を贈られる」というのは、本当にうれしいことです。美しい花は、贈ってくれた人の気持ちを私たちに伝えてくれます。しかし花贈りのマナーを間違えると、喜ばれるどころか、迷惑がられたり、悪意にとられたりすることすらあります。

花を贈る時は何よりもその場面に相応しい花を選んでください。華やかな場面では、華やかな花を、悲しみの場面には相手の心を波立たせないような静粛な花を……というように、もらう相手の立場や気持ちを思い遣った花選びが非常に重要なのです。細かいルールを知らなくても、このことさえ頭にいれておけば、大きな失敗をすることもないでしょう。

どうぞ、気負わず、自分の気持ちを相手に伝える手段として、「花贈り」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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