バブル景気に沸いた1980年代後半~1990年代初頭。日本が最も元気だったといわれる数年間に青春を過ごした女性は、どんな恋愛を夢見ていたのでしょうか?
日本が「好景気」と言われたのは、今から20年も昔の話です。JRが誕生し、昭和から平成になり、青函トンネルや瀬戸大橋の開通で列島が繋がった、バブル期の日本。東京ドームや横浜アリーナなどの大型娯楽施設が次々に完成し、ウォーターフロントの開発も進められました。そんな活気ある時代に、青春を過ごした女性の恋愛とはどんなものだったのでしょう?当時を知る人には懐かしく、知らない人には興味深い、バブル時代の恋愛スタイルをご紹介します。
「バブリー」って?
気前よくお金を消費するさまや、消費する人を指す言葉です。バブル時代に、サラリーマンが接待などで派手にお金を使ったことから生まれました。そのため、バブル崩壊後は「無駄遣い、無駄遣いする人」の意味が強くなっています。ちなみにこれは、「バブル景気」から派生した和製英語で、英単語の「bubbly(泡の多い、陽気な)」とは意味が異なります。
バブリーな恋愛キーワード
バブル時代に生まれた女性目線のキーワードをご紹介します。
三高(サンコウ)
女性が結婚相手の男性に求める条件。「高学歴」「高身長」「高収入」を指す。
アッシー君
送り迎えをしてくれる男性。電話1本で呼び出され、目的地へ着けば帰らされる。
メッシー君
高級レストランなどでご馳走してくれる男性。食事が終われば、任務完了。
ミツグ(貢)君
ブランド商品などを買い与えてくれる男性。見返りを求めてはいけない。
アッシー君、メッシー君、ミツグ君を兼任する男性もいたとか。女性は彼らを使って欲望を満たし、三高男性には尽くしたといいます。当時の女性すべてがそうだったわけではないでしょうが、これらの言葉が生まれた時代の勢いを感じずにはいられません。
バブリーな恋愛ドラマあるある
両想いなのに、お互い意地を張って素直になれない男女に、片想いに悩む男女……。時代は変わっても、恋愛のテーマは決まっているもの。それを違ってみせるのが、時代背景です。その要素は「トレンド」として、ドラマの中に色濃く反映されます。日本が経済で世界の頂点に立ち、活気づいていた数年間を背景に作られた、当時の恋愛ドラマの要素をチェックしてみました。
何となく「アメリカン」で、「ヤッピー」なドラマ設定
- 登場人物の多くはカタカナ職業。とくにファッション・マスコミ業界で働いている。
- (面白さは別にして)米コメディのような、軽いお笑い演出が盛り込まれている。
- 若くして都内一等地の豪華なマンションに住み、ブランド服に身を包んでいる。
- 高級外車に乗り、最新の通信機器を使いこなしている(でも当時のケータイは巨大)。
- 女性を中心に描かれ、男性はうだつが上がらないか、浮ついている(でもイケメン)。
- ディスコやカフェバーなど、最新スポットへ出入りしている。
これらの「現実離れ」した要素が、当時の女性たちの憧れる世界でした。しかし、実際にはこのような世界に生きていた人びとは多くなかったようです。
バブリーな世界を演じた女優・俳優たち
浅野温子・浅野ゆう子・石田純一・三上博史・陣内孝則・柳葉敏郎・本木雅弘・布施博・鈴木保奈美・安田成美・吉田栄作・山口智子・田中美奈子・織田裕二・江口洋介・緒方直人など
新ドラマなのに「前にも見なかったっけ?」というデジャヴにおちいったのは、彼らが入れ替り立ち替り、役を演じていたからでしょうか。
主題歌は、バンドが担当
- プリンセス・プリンセス『GET CRAZY!』(ドラマ「君が嘘をついた」)
- リンドバーグ『今すぐKiss Me』(ドラマ「世界で一番君が好き!」)
- ピンク・サファイア『P.S.I LOVE YOU』(ドラマ「キモチいい恋したい!」)など
バブル期とバンドブームが重なったため、主題歌にバンドの曲が使われることもありました。久保田利伸や氷室京介を始め、シンガーソングライターも多く起用されています。
バブリーな恋愛ドラマ年表
バブル時代に作られた恋愛ドラマの一部を、ぼやきと共に見てみましょう。
1987年
- ドラマ「アナウンサーぷっつん物語(フジ)」
- ドラマ「男女7人秋物語(フジ)」
1988年
- ドラマ「抱きしめたい!(フジ)」
- CM「クリスマス・エクスプレス(JR東海)」シリーズ放送開始
1989年
- ドラマ「ハートに火をつけて!(フジ)」
- 映画「彼女が水着にきがえたら」公開
1990年
- ドラマ「世界で一番君が好き!(フジ)」
- 映画「プリティウーマン」公開
1991年
- ドラマ「東京ラブストーリー(フジ)」
- ドラマ「もう誰も愛さない(フジ)」
改めてバブル時代の恋愛ストーリー年表を見ると、フジ作品ばかりだということにお気づきでしたか?それまで大映ドラマで一世を風靡した「ドラマのTBS」に、バブル景気とともにフジが取って代わったといったところでしょうか。
映画「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」
こちらは80年代ではなく2007年に制作された、バブル時代をテーマにしたラブコメ映画。制作はバブル期に「私をスキーに連れてって」、「彼女が水着にきがえたら」、「波の数だけ抱きしめて」のヒット映画を生み出した、ホイチョイ・プロダクションズ。バブル時代へタイムスリップしてしまう現代っ子が主人公なので、若い世代には当時のドラマを見るより、こちらのほうが分かりやすいのかも!?
バブル時代は恋愛ひとつ取っても、個性ある時代だったのですね。今回ご紹介した恋愛ドラマは、DVD化されているものもありますので、見てみてはいかがでしょう?今見ると笑ってしまう台詞やシチュエーションも多いですが、それらも含めて「バブリーな恋愛劇」の大きな魅力です。